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LANCIA FORREST おまけ
2003/01/31 小島会社法務ゼミ 模擬Mediation prepared by大澤
当事者B用資料
以下の事実のもとでAがBを相手に出資金の返還を求めてMediationを申立。
(Aさん・Bさん共通の事実)
AとBは仲の良い幼馴染であったが、3年前から郷里の地方都市で共同でパンの製造販売事業を始めた。
Aは以前、東京のパン屋で修行をしていた。
Bは以前、中堅スーパーで営業の仕事をしていた。
Bは、Aのパン製造の腕を生かし、自分の企画力・営業力で販売をすれば素晴らしいパン屋になれると考えて、Aに提案した。Aもそろそろ独立をしたいと考えていたので、Bの提案に従って郷里に帰ることにした。ABは自己資金300万円ずつ(合計600万円)を出し合って有限会社を設立し、小さいながら工場兼事務所を賃借して事業を始めた。設備などはリースし、ABが保証人になっている。パン屋は軌道に乗り、繁盛してきた。
ABの給料は同額としている。しかし、2年経つ頃からAはBに対して不満を持つようになった。
(B=営業担当の言い分)
Aは工場でパンを作っているだけで良いが、自分は外で売りさばかなくてはならない。営業がいかに大変な仕事かを、Aは全然分かっていない。
楽しくもないのに百貨店やスーパーのエライ人たちに付き合ってゴルフをしてオベンチャラも言わなくてはならない。
夜は夜で、楽しくもない食事などで接待しなくてはならない。
夜遅くても朝は8時から出社しなくてはならない。こんな辛い仕事はない。
パンだってBが出したアイディアでAが作っているだけ。
Aは気楽で良い。
店は確かに繁盛はしてきたが、この大不況でデフレスパイラルになってしまい、ますます薄利多売をしなくてはならない。人件費も切り詰めなくてはならないので、自分も1割カットし、Aにも同じ1割カットをお願いした。
賃金カットについても帳簿を見せて理由も説明したのに、ろくに見ないで「自分には良く分からない」とろくに口も聞かないで、怒って出て行ってしまった。
その挙句、Aが先月初めに「自分は独立することにしたから、出資した金を返して欲しい」と、いきなり怒鳴って事務室に入って来た。何を考えているのかさっぱり分からない。
パン職人は外にも居る。Aが出ていくのは自由だが、出資金を返すわけには行かない。
そんな金はないし、先日市役所の無料法律相談で聞いたら、出資を返す法律上の義務はないということだった。設備のリースだって残っている。
もうこうなったら
Aの顔も見たくない。©20003 Tsuneo Ohsawa. All rights reserved.