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10/14/00 岡山仲裁センター 「ADRの可能性―岡山仲裁センターの挑戦」

岡山仲裁センターは、以下の諸点を重要なものとして出発し運営されているということです。
   第1、当事者の納得のゆく解決(自らの問題を自らの意思で話合い解決すること)を目指す。
      そのために、@当事者同席方式(当事者がリアルタイムに事態を把握、手続の透明化)を採用し、
      A弁護士仲裁人のほか、専門化した問題にカンウンセラー・不動産鑑定士・建築士・税理士等の専門家に入ってもらう。
   第2、法律相談から解決に導く(法律相談時に必ず仲裁センターをReferさせる)

シンポジウムのオープニング

同席コミュニケーション援助型調停の風景

パネルディスカッションの様子

 今回のシンポジウムでは調停における3つのスタイルを劇団員の方々が演じ、同席コミュニケーション援助型調停のあり方をとても分かりやすく示していただけました。台本は岡山の弁護士さん達が練りに練られたもので、非常に優れた内容になっており、今回限りの上演ではもったいなく、私としてはこの演劇をぜひともビデオに収めて全国各地の仲裁センターや弁護士会、家庭裁判所などに配布していただけないかと、強く希望致します。  

  コント(仲裁風景@AB) 劇団スペース50cc(地元の演劇家の方々)

  仲裁室の様子を再現、3つの仲裁のスタイル〜交互方式と同席方式

  [ケース]38歳の夫、妻34歳、社内結婚、10年、3人の子あり。子育てにつかれた妻。夫の社内不倫。妻から離婚を求めて仲裁申し立て。夫はやり直したいと希望している。

 仲裁風景@ 交互方式

  妻からの事情聴取:どうしても許せない。離婚したい。(妻退席)

  夫入室:(仲裁人:妻の言い分を伝える。) 離婚したくない。自分も悪かったが、妻は相手にしてくれない。(退室)

  妻入室:(仲裁人:ご主人はやり直したいと言っている。本当に反省している、と。奥さんが相手にしてくれないと言っていた。)           え? 私のせいにしている? 私は苦しんでいたのに!許せない!離婚の気持ちに変わり無い。(退室)

  夫入室:(仲裁人:奥さんに伝えたが、離婚の意思は硬い。) 私は反省している。何とかやりなおしたい。(仲裁人:奥さんは、絶対許せないと言っていて、翻意はむずかしい。不倫をしたのだから裁判でも離婚は認められる[説得]。) しかたない。(仲裁人:じゃあ離婚同意で良いですね。)

  妻入室:(仲裁人:ご主人は離婚に同意しました。) え、同意した?夫の本心を聞きたかったのに・・・

仲裁風景A 同席方式1:(同席説得型)

  妻、興奮して非難。夫、反論。妻;外で好き勝手なことをして。私は被害者。

  仲裁人:夫婦喧嘩の仲裁になっちゃう。不倫は悪いが、誰にも過ちはある。やりなおせないか?許せないか、裁判になると長くかかる、短くて1年。経済的にも苦しくなるだろう。養育費は1人2万5000円程度。(妻に一方的に説得)→しかたがない。

 夫:2度と浮気をしないと約束。

 妻:仲裁人はちっとも私の気持ちをわかってくれなかった。本当は夫に私の気持ちをわたって欲しかったのに。

仲裁風景B 同席方式2:(同席コミュニケーション援助型) 

 相互リフレイミング・パラフレイジングによる対話の促進、直接の対話で初めて相手に伝わる当事者の気持ち、直接の反省、謝罪、心情の吐露、相互の気持ちの理解、わだかまり?もう少し具体的に?〜結婚で私は一体なんだったのか?家政婦か?〜いいや違う、子供に辛い思いをさせ、妻も大事だと痛感。もう一度やり直したい。直接の対話の回復。

過去は過去として、これからのことをどう考えるか?〜妻:もう一度やり直す方向で考えたい。

 妻:(満足)久しぶりに夫と話ができた。自分も反省しよう。

 この演劇のあと、廣田弁護士、山田岡山大助教授、上原判事、若林NHK解説委員、中村弁護士、鷹取弁護士をパネラーとするパネルディスカッションが行われ、ADRの有用性、同席方式の採用、当事者の感情の受容、調停者の判断の押付、ADR発展のための条件、ADRの可能性といった諸問題について、非常に有意義なディスカッションが行われ、最後に「ADR宣言―ADRの新たなモデル構築へ向けて」及び「調停者の心得」が発表されました。私としては、このディスカッションの内容を含め、岡山だけではなく広く全国に知っていただくべき重要な価値のあるものだと思います。

「ADR宣言」と「調停者の心得」の発表

岡山仲裁センターの仲裁室 

岡山弁護士会の入り口にある太陽の彫刻

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