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カウンセリングと法律業務を考える。

河合隼雄著『カウンセリング入門』(98/9)を読んで―弁護士大澤恒夫

1 河合隼雄著『カウンセリング入門』(98・9) の概要

 「カウンセリング」〜「相手の話を聴くこと」「クライエントの気持ちを、共感しつつまずその在り方を受け入れることが大切」「これがしっかりできると、クライエントの持つ潜在力が活性化されてくる。」
 〜「相手の気持ちを受け入れる以前に、何とか自分の知識や能力で『救おう』とする。そのために困難が生じてくる。」「自分の考えや能力を前面に出すことはやりやすいが、相手の気持ちを受け入れることは、予想外のエネルギーを必要とする」(はしがき)
 〜「セラピストであるわれわれの考え方を押し付けたり、あるいは説得したりするのではなくて、やって来たクライエントの気持ちを受け入れていくという中で、クライエント自身の自主性、クライエント自身の考え、クライエント自身の経験というものを大切にしながら、その人が変化して行くのを助ける」(204ページ)。
 *相談[知識・経験・能力による救済のための助言・忠告]とカウンセリングの違い5
 *「聴く」練習−ロールプレイ11〜河合氏のリフレイミングによる「聴く」行為の実践
    ―経験は役に立つか21 経験を超えた相談22
 *さまざまな問題への対処のしかた

1 相談にきた人以外に問題がある場合25
   ―問題の人に会いに行くべきか
   ―秘密を守ること28
   ―「悪い」と言うことと、実際に「悪い」こととは別物(その人がそう思っていることは大事)29
   ―対立している両者から信頼される30
   ―情報を集める32
   ―会いに行くことで、かえって問題が大きくなる33
   ―善意ほど怖いものはない35
   ―間に立つ人に会う(間接的に話し合う)37
      ⇒「間に人を立てる」という言い方
   ―休むことの大切さ43
   ―「何かしてやる」という思い⇒カウンセリングではない44
   ―万策尽きたところからカウンセリングは始まる〜説教も話し合いも叱責も効き目がないというときがある。    そこからカウンセリングは始まる。47人間というのは、よくなりたいという気持ちがあると同時に、そう簡単に    はよくなりたくない.49 肝心なことはなかなか言わない。50
   ―自分で立ちあがってくる力を信じる51 とことん悩んで、そして立ちあがる59
   ―ひたすら聴きつづける52
   ―「聴くこと」ほど怖いことはない〜本気で聞いたら悩みがこっちへ移るから.55向こうの降りる限りこちらもと    ことん降りて行こう、こういうのがカウンセリングです。降りても降りても、人間というのは立ち上がって来る、    確信というより、これは事実57
   ―相手の気持ちをつかんで聴く60
     〜常識、法律、医学等で判断できる問題−そんなのまで別にカウンセリングしなくてもいい
     〜「自分もその気持ちになる」まるっきり同じになったら駄目61
   ―「とことん聴く」のにも枠がある〜例外:精神病、暴力、自殺63
   ―本当に受け入れられると立ち上がれる64
(2、テープをとること)
   ―身近な二人を同時にカウンセリングするのは至難67〜利害相反
3、カウンセラーは何を言うのか71〜リフレイミング
4、無理に引っ張ってこられた場合79
   ―無理強いのカウンセリングはむずかしい
   ―相手の気持ちを受け入れる80
   ―心が触れるまで待つ81
5、カウンセリングに社会的な広い知識は必要か〜人の気持ちを受け入れるためには沢山のことを知っていないといけない。87
6、期間について87〜ケースによる
7、自分の家族(身内)のカウンセリング88
8、カウンセリングの定義付け90
9、カウンセリングの起こり9
  ―まず最初に宗教があった、ノイローゼの人達の出現、精神分析のはじまり、全てに共通するのは「聴くこと」、   カウンセリング技術の発達−欧州⇒米国⇒日本、ロジャーズのクライエント・センタード・セラピー(来談者中心   療法)、宗教・教育・医学との繋がり、日本では心理学的色彩が強い、谷間の学問(学問と学問の谷間にでき   た学問)

  まとめ100
     忠告・説教は心に届かない。
     できないところからカウンセリングが始まる。
     聴くこと=一人の人が真剣に受け入れるという立場でかかわる
     自分の問題の整理、見直し、新しいことの発見により、その人自身が立ち直って行く
     自分の前に座っている人を「尊敬する」「尊重する」

2、若干の検討と感想

 「カウンセリング」における「人間」の位置付け

 カウンセリングによる問題解決の守備範囲

 「紛争」や「紛争解決」をどのようなものとして捕らえるか。

 レビンさんのMediationとカウンセリング
   〜 同じ点
   〜 違う点

 対立当事者を交えた話し合いとカウンセリング

 法律相談とカウンセリング

  General Counselとしての法律家とカウンセリング

 ロールプレイと法学教育